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『ビジネスの成功はデザインだ』(神田昌典氏との共著)発売されました

 この本が出るきっかけは、昨秋、神田昌典さんと行ったセミナーでした。


 当時私は、野宮真貴リサイタルvol.3をプロデュースしておりまして、その折に、「企業の人たちに、野宮真貴リサイタルが代表する<極めて女性的でおしゃれなステージ文化とその周辺マーケット>」について、観てそして学んでいただく機会をつくろう、と、まあ、大人の舞台芸術鑑賞会を企画した折の、講演部分を軸に、その時の対談形式ではなく、神田さんと私とで別々の筆致で、二部書き下ろしの共著として本にしたものです。


 今までに多くのプロのデザイナーたちが自らと、また、デザイン環境についてたくさんの素晴らしい本を書いています。プロのデザイナーではない、私と神田さんがこの本を書いた理由は、ふたつあります。ひとつは経営コンサルタントとして多くの優れた実績を残している神田さんをして、「このインターネット&見た目社会に、中小企業が発展していく、チャンスをつかんでいくのに、デザイン、ということを知り、使うことこそが必須である」ということを伝えたかった。もう一つは、これは私の実感ですが「ネットやハードの進歩で一億総クリエイターになりつつある時代に、今までプロの専門領域だったデザインリテラシーがメーカー側の必須教養になっていくだろう、という点。


 いくつかの日本企業が、社内コミュニケーションを英語にする、と発表して話題になりましたが、彼らがそれをする目的は、海外への市場拡大にほかなりません。とすると、やはりグルーバルなビジュアル・コミュニケーションの強力ツールであるデザインを知見として体得する、ということは、企業人にとってそれ相応の必須教養であることは間違いないでしょう。


 私のパートでは、いくつかの成功例が示したマーケットと、そのデザインがなぜ、消費者の欲望を刺激しえたのか、というコミュニケーションの実態を時代背景なども交えて綴っています。


 バブルの好景気時代、デザインは「よくわからないけど、カッコいい」ことの象徴でした。当時のサラリーマンは、背伸びをしてそういったトンがったデザインの空間やモノに触れようとしたものです。しかしそれは、バブル崩壊後の不況時代にまるでスケープゴートのように扱われ、「カッコ良いものは、売れない。ベタで行こうよ」という、デザインに対するクールな態度がもてはやされ、そして、現在は、もっと本質的な攻めと売り、もしくは「相手に弱みを見せないための自衛の武器」というような、コミュニケーションの総力戦のツールとして、デザインが立ち現れている、ことをあらためて自覚する必要があります。   (時代の併走者として、アートというものも強力にクローズアップ、されていますしね)


 また、インターネット時代、個人で仕事をしている人間は皆、「ひとり上場」といえる構えとブランディングを装備しようとしています。デザインはもちろんのこと、その部分にも大きな役割を果たしています。


 たとえば、ローリングストーンズはあの唇と舌のマークをシンボライズしたが故に、イメージが強固になった、チェ・ゲバラが革命の何たるかを全く知らない若者のTシャツに今でもプリントされているのは、かれのあの特徴的な髭とベレーのデザインスタイルだからです。デザインを読むためには、実はカルチャーや文化史的な教養も必須になってくるのですが、「役に立たない小説や映画は、時間を使う価値がない」と言い切る、最近のビジネス書周辺の費用対効果主義(ホント、多いらしい)たちに、そのことの脆弱さも警鐘したかった。


 この手の筆致は、『クラブカルチャー!』(毎日新聞出版局)以降、初めてかもしれませんね。


 私のキャリアには、雑誌編集という部分がかなり長い期間にわたったあります。思い起こせば80年代の「ぴあ」という、当時としては先端出版社で、全く経験がないまま最初からビジュアル別冊編集長! という立場(こういうチャンスが20代中盤で来るのが、バブル期のいいところでした)で、諸先輩たるデザイナー諸氏たちと格闘しながら、デザイン言語たるものを身につけていったこと、また、90年代にカルチャー雑誌のSWITCHで、写真という強力なビジュアル装置、マガジンデザインというものと格闘したことなどの、まあ、集大成になったと思います。





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