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執筆者の写真湯山玲子

12月のいろいろなこと。シェフズの上海蟹、シュープリームス、アマランス仮面、銀座の慎太郎など

 ふー、結局なんだかんだにて、土曜日も打ち合わせに出動していた私。

 いやはや、今年の12月は相当な忙しさでした。  でもあれだね。何だか、若い頃より全然、疲れやストレスがないんですよ。実はこの秋冬、久々にクラビングが復活していて、明け方まで踊ったことも幾数回。年齢と疲れとが反比例。これには私、持論がありまして、要するに「初めてのことをやるストレス」というものが全くないから、と、若いときより格段にいいモノ、食っている、ということがその理由ではないかと思っているのである。

 十代の頃なんか、学園祭一発やるだけでなんだか相当、疲れていたじゃない。でも、今の私なんぞは、毎週、学芸会ともいえるのにひたすら元気ではあります。とすると、あの若いときの学園祭疲れは、いうならば、能力や体力からの疲れじゃなくて、ひたすら不安や気疲れ、からくる精神疲労でということが見えてくるわけですわ。周りに会わせてしまって、自分のやり方がみえていないことからくる疲れも加わるからより大変です。

 たとえて言うならば、「思いっきりアクセルを踏んいるのに、いろんなコトを気にして思いっきりアクセルも踏んでおく」状態。こりゃ、車体はダメージ、受けますがな。それ、やっているうちに、アクセル踏むことも忘れてしまって、路上駐車でサビだらけのオトナははっきり言って、多い、です。老政治家ってわりかしぴんしゃんして激務をこなしているじゃない。それも、そういうこと、でしょう。ただし、疲れはないが、悲しいがな、ひとつひとつの体験の快楽は減ってしまうんだよね。結局、人生、ゼロサム理論。うまく、快楽の帳尻が合うことになっているのかも。

 というわけで、デジカメ、iPhone 歳末セール、12月の思い出シリーズ、行ってみよーう!


12月某日

●岩谷俊和とカキに溺れた夜

 Dress33のデザイナー、岩谷俊和さんとスタッフのテラシさんと野宮真貴さん、冨沢ノボルさんの四人で恵比寿の「MAIMON」でカキ三昧ディナー。日本産はもちろん、肥えてぶりぶりなのですが、海外の小振りなヤツもまたよし。ボインちゃんもスリムもどちらも味わいがあってよろしいねぇ-、って比喩が小沢昭一みたいになっちゃった。


12月6日

●大阪、日本料理トリップ

 大阪、阿倍野にある辻調理師専門学校 にて、シンポジウム「日本料理史・食文化史研究の現在」があり、聴講に行きました。その途中、阿倍野の道ばたの整体のショウウィンドウにて、凄い院長発見。写真はソレ。

 シンポジウム自体は、申し訳ないが、期待以上のものではありませんでしたね。大学に専門が無く、包括的に全貌を掴むことがフランス料理ほどにはない日本料理をこの際、一気につかみたいっていうんで、新幹線に乗って出向いたわけですが、その内容というと、すべてこちらの常識にあるものであり、世間に氾濫しているグルメ、ウンチク本の範囲を出てこない。

 もしかしたら、ものすごーく、初心者向けに話されたのかな、と思ったのですが、この講座、ある意味食のプロのBtoBの集結でしょ? それにしては、物足りなかったかも。テーマが大きすぎて薄まってしまったのかもしれませんねぇ。

 話者のひとりは、寿司と日本料理の北米での伝播に関して、黎明期当時に現地調査を行ったといいます。まさにそこが、今日の日本料理のグローバル化に際して大きな知見が存在する、キモの部分なので、期待していると、その答えはこれ。「ただ、インタビューをしていてはっきりしたことは、みんな、美味しい、って言うんですよ。美味しいに国境はない。ワハハ」。ふ~。日本料理の欧米浸透に荷担したと言われる映画やメディアに関しては一言も触れずじまいでした。壇一雄の名著『壇流クッキング』の文庫版解説に荻昌弘がこういっています。「われわれ日本人の大半のように、アミノ酸の味覚といった狭量の味覚領域にしがみつきたがる民族や、・・・・」そう、世界にはさまざまなくいようがあり、そこに今後日本料理はどのように食い込んでいくのか、行かないのか。今後、10年の関心事のひとつではあります。 

 しかしながら、この後行った、大阪は西九条にある『食べ菜 なんば』は美味しかった。辻調の職員の方の推薦だけのことはある、関西らしい甘みが自由自在に駆使され、素材に寄り添っていく。一番出汁、二番出汁のピターッと決まった旨味の迫力は、まさにアミノ酸の快楽の渦。カウンターには常連らしい、大阪のオバハンがひとり陣取っていて、その人がまあまあ、よくしゃべくりまくる。ホントに絵に描いたような大阪のオバハンぶりに、まるで「どついたるねん」を見ているみたい。そのオバハンのどーでもいいご近所ネタをBGMになかなか、風情あるディナーでしたが、考えてみればこのごく普通の下町オバハン、このレベルの和食を週一ペースで食べているわけで、ものすごく、舌の民度が高いわけです。驚きはその安さ! ひとり1万6千円コースかな、と思いきや、なななんと、5千3百円。うーむ、もはや晩年は大阪移住は必定ですな。


12月18日

●銀座「慎太郎」にて。

 京都小田章の社長との打ち合わせ流れにて、焼き肉ディナー。日本の若き老舗着物メーカーの跡取り諸氏が集まり、着物についての意見交換。そのあと、銀座の「慎太郎」へ。入り口でなんと金子國義画伯にばったり会い、ご一緒する。この「慎太郎」、ホントはビッチーニの寺田ちゃんの仕切りにて連れて行かれるという段取りだったものの、先にぶっちぎってご訪問しちゃったことになります。ゴメン! 

 なんか、こぢんまりした小箱を想像していたら、絢爛たる銀座の大箱。ゲイのホステスさんたちも個性派揃いで、ひとりのオネエさんは、かなりの建築マニアで、艶やかな日本髪で丹下健三美学を語り出したら止まらない。劇団四季の役者さんもいて、写真の子猫ちゃんは、その方の手になるキャッツのメイクを施されてたお客のギャルであります。

 ウチのキャッツ。冬になると体重が増える。


12月21日

●みやっちこと宮本泰成結婚式イン新宿クラブハイツ

 曽根裕の大学の後輩で、昔よく遊んだみやっちが40歳ゴールイン。お相手は、横浜国立大学大学院「Y-GSA」のスタジオマネージャーをしていて、建築界メディアにこの人あり、の寺田真理子さん。写真右がみやっち、その左はご存じ、西山裕子をはじめ、南條事務所の面々。クラブハイツという空間に会わせて、夜の蝶系ドレスアップをしちょります。このステレオホール今年いっぱいで取り壊しが決定。このシャンデリアだけでもどこかに移転して欲しいものです。この結婚式、とにかく出席者が凄くて、日本の建築界の重鎮がこんなに勢揃いするのは珍しいという豪華ゲスト。曽根裕のお父上である曽根幸一氏も壇上でスピーチ。そうしたら、曽根ママの姿が前方に!っていうんで、ツーショット記念写真。(写真見ると、やっぱ息子の曽根裕にそっくり!)私めはこの方のファンでして、何と言っても、料理天才の上、クイーンのボヘミアンラプソディーが愛聴版というロック耽美魂を心に持った女性で、密かにシャンソンの舞台にも立っているらしい。なんと、拙書「女装する女」をすでにご購入されており、「これ、ワタシかと思ったわ~」とのお言葉です。そう、彼女はアラフォーならず、多分もうすぐ70代のアラセブに近いわけで、いつもワタシが申しているように、女性における年齢マーケティングはもはや意味をなさないのでした。



12月22日

●未来画廊でのアマランス仮面舞踏会

 この12月何が忙しかったって、実はこんな仮面を夜なべでつくっていたことにも起因したのでした。スワロフスキーとアマランスの共同企画にて、アマランス常連さんたちが仮面をつくり展示するという企てです。いやー、皆さんホントに力作ばかりで凄かった。ちなみにワタシの仮面のタイトルは「狐になった奥様」ご存じ、デビッド・ガーネットの小説から。


12月24日クリスマスイブ

●シュープリームスライブインマドラウンジと嶋さん主催飲み会

 とにかく、MCの尺まで計算されたカラオケバックトラックが凄かったっす。全然、問題なしですな。アメリカのショウビズの編曲力の引き出しの多さに脱帽である。このあと、オールアバウトのフレンチ欄でグルメの健筆をふるっている嶋啓祐氏のワインパーティーに行く。30代のお年頃女子三人に、どういうわけか、女の道、説教。自分からはリスクを冒さずオトコ待ちの姿勢と、女同士のつるみ、がある限り、絶対オトコゲットはできない、という基本中の基本をクチを酸っぱくしてお伝えしました。


12月26日

●阿部ガリアーノ誕生日イン ベロア

 まずはめでたい。しかし、ガリ氏はよくこのブログに登場するなー。


12月27日

●SHEFF'Sの極上上海蟹(オス)

 今年最後のグルメディナーは、とうとう念願の菊地成孔リコメンドの"シェフズ、最高の上海蟹"で幕を閉じることになりました。確かにここのオス蟹は「ねっとり栗の味」という上海蟹の旨さのマックス級。こんだけむっちりとした肉質は上海でも体験してなかったかも。気仙沼の最高のフカヒレが中国に行っちゃう変わりに、中国からは最高の上海蟹は東京に来る、というわけです。

 そのあと、菊地さん行きつけの新宿イタリアン「ブリッコラ」へ。軽飲みのつもりが、なんと、三時過ぎまでワインでしゃべりまくり。いやー、フジロックのバックステージでの"出来事"や、いろいろな噂話とか、ずーっとミルプラトーな会話の流れは、まさに高校の部室のガールズトークを思い出しましたです。でも、最終的に深酒の末、話は資本主義最終形の話。ワタシも菊地さんも階層や差異の段差を「人間、結局、コレを止めることはできないだろう」という意見の持ち主。しかし、世界の意識はよりフラットな方に行こうとしているわけで、そのしわ寄せはいったい、どこにどう噴出してくるのか、は今後、絶対見届けたい所存ではあるのでした。まあ、でも、ブリッコラ、重ねて飲み続けたグラスワインのセレクト、抜群でしたね。特に赤に移ってから一発目のワイン、よかったなー。ネーム控えときゃよかった。

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