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執筆者の写真湯山玲子

遅まきながら、ソナーinバルセロナ報告

 いやー、実は行ってきたんですよ。6/15~17にバルセロナで行われた、Sonerに。

 本当は持っていった、バナソニックのノートでバンバンブログに載せるはずが、初日に作動しなくなっちゃって、戦意喪失。そのまんま、サッカーやら何やらで忙殺されてやっと、今ご報告いたしまっす。

 ソナーとは何かと言えば、「最も進んだ音楽とマルチメディアの祭典」というコンセプトを掲げて、今年で13 年目を迎えた老舗フェス。私も今回で三回目になるのだが、フェス嫌いの私としては唯一、認めうるフェスともいえるのだ。屋台のどーでもいい食事の替わりに、スペインのバールでハモンセラーノが食べられるし、じめじめしたテントに寝なくていいし、何より、スケジュールに合わせて山を右往左往しなくていい、という点が最も気に入っているのですが、やはりね、”最も進んだ音楽”というスローガンがダテじゃないほど、毎回、音楽的な発見があるのだ。


 二年前には、地元の交響楽団とパンソニック、坂本龍一のコラボは、よくある、異種格闘技系などという邪推は吹っ飛ぶほどのものすごい音楽の高みを見せてくれたし、キッドコアラのターンテーブリストぶりとハイセンスは国内で観たものと桁外れによかったし。

 そして、今回ですが、ゆるゆるの音響環境の音楽祭典である昼の部はともかく、どちらかというと、集客イケイケの感もあった、夜の部のクラブナイトがメガトン級に凄かったんですよ。小松空港かい? と思われる、または、未知との遭遇の基地かと思われる巨大倉庫の会場で同時にすさまじいまでのプレイが同時進行で行われているという凄さ。 リントン・カイザー・ジョンソンの百年来普遍の語り部グルーヴ(デニス・ボーヴェルバンドですぜ)のクールに酔い、シックのナイル・ロジャースのカッティングに痺れ、未だかつて無い、ド渋の宇宙観を見せてくれたDJクラッシュ、巨大オーディエンスになるとまた異なったパワーと妙技を見せるジェフ・ミルズなどなど。これがたった一晩で同時開催されるんだから、もうもう、どうしたらいいのやら~。ここでも新発見は、ローラン・ガルニエに出向こうと会場を後にした瞬間、響いてきた悪魔的な雄叫びにとって返し、ステージ板付きで最後までみちゃった、オットー・ヴァン・シラック。ヘビメタとヒップホップとヴァイラ・ファンキが融合したようなサウンドも凄かったんですが、ポール・マッカーシーの西海岸アートを彷彿させる、デアボリックでIQが超低いパフォーマンスにやられました。やっばり、世界にはいろんな奴らがいますねー。


 そして、やっぱり、坂本龍一とカールステン・ニコライのINSENかな。私、それまでカールステンのことを頭でっかちの現代音楽の遺児だと思っていたのですが、こんなに、感情的情感的な音響遣いだったとは! 教授のメロディーとコードの才気はもちろんですが、それに寄り添って、ふたりで暗闇を光を求めて歩いていく道程っつーか。 もはや、竹林のざわめきに匹敵する弱音の美の極地! 日本でも10月に彼らのセットが来るらしいので、これは、ゲージュツ心ある人々は必見だと思います。


 あとはですね。

 セニョールココナッツのYMOやクラフトワークのラテンカバーのユーモアとシアトリカル妙味はこれはもう、好みとしてのど真ん中。全員がスーツ姿なんですが、ボーカルの伊達男、ブリトーちゃまなんて、紳士服の青木、みたいなぴたぴたのネクタイ姿で、UFJの社員みたいなイイ味を出していましたっけ! 


 今回はジャパンイヤーとうたわれたほど日本のアーティストが多かったのですが、たとえばドラビデオなんかに見る、ギャグセンスやハイコンテクストぶり(おいらはドラマー的なソロドラムにシンクロして、マツケンサンバやブッシュの映像がスクラッチ挿入される)は、どう考えてもスポイル状態の欧米の音響系に冷水を浴びせたって言うほど、ウケていましたよね。


 東京でも、ソナーの衛星イベントが、なんと今年の10月7日、8日、9日と3日間にわたって恵比寿ガーデンプレイスで行われます。私は実はそこに実行委員として関わっていたりもするんですが、現在、鋭意コンテンツを開拓中なのですよ。

 あっ、もうすぐサッカー決勝戦だ。

 スペインから帰って、しばらく立つのに、まだ時差ボケが治らないわけはこれだよ。

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