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執筆者の写真湯山玲子

寿司処しみづにてひとり寿司

 日曜日、ふと思い立って、新橋の名店「しみづ」にひとり寿司決行。

 店主は三十代中盤で「あら輝」「さわ田」などと同様のアンファン・テリブル名人のひとり。

 突き出しになぜか、なすの煮染めが出、これが結構なんと言うことはない味。つまみの鯛もちょっと肉厚すぎ、煮だこもなぁ、と思った矢先、出た! 剛速球のもどりがつおのたたき、藁スモークが。以降、ミル貝、またまた、とてつもない、いかげそ(あんまり旨いんで、ここから主人とのコミュニケーションがはじまった)と続き、しめさばもヤバかったけど、ほとんど天変地異に近い程のイカの塩辛が出る。(塩辛に関しては長きに渡って、一過言ある私をして、たぶん今まででナンバーワン。あまりに旨いんで、残ったワタを日本酒でといてのみほしちゃった)  旨かったつまみは全部また握りにてリフレイン。  すると、先ほどのしめさばがぐっと甘みを増したり、またまた、酢飯とのマッチングからどんどん違う旨味が引き出されてきて、なんだか、こういうのって、好きな男の違う表情をベッドで見るよーな、見ないよーな・・・・・。

 客も凄かったね。私のほかには三団体。ツーカップルと、男ひとりに女ふたりの逆ドリカムが一組。みんな寿司のウンチクがタダものではない。金と才覚とイヤミが加わった三大悪弾正って感じ。弾正のひとりはデカンタで赤ワインを飲んでましたが、私がかつて六本木ヒルズクラブで遭遇した、IT若造社長の白ワイン+寿司のヤワさに比べたら、朝ごはんにさえ、赤ワインをかけて茶漬けにしてそうな剛の者。隣に座った弾正その二は、高田文夫似で、私にお酒を恵んでくれたいい人だったけど・・・・・。

 24時間経った今でも、はっきりとその旨味の輪郭が残っているわけで、それはホントに凄いことだと思う。だって、かつおやサバやイカなんて、私たち死ぬほどたべてきているんだからさ。

 しかし、今にして思えば、最初のなす→鯛→タコはなんだったんだろう。  もしかして、テストのひとつであれを「うまーい」なんていう客を三人悪弾正が、 お白州吟味するネタだったのでは。  としか思えん。 

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