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執筆者の写真湯山玲子

六月は魔の季節、CICADAと麻婆豆腐と



CICADAの勇姿。ボケボケだー。と「東波」麻婆豆腐の勇姿。


 野宮真貴さんが昨日の中華料理屋でつぶやいた一言。  「六月は魔の季節なんだよね」

 そうなんですよ。六月ももうすぐ終わろうとしているが、何だか心騒ぐ事件や体験が近頃続いている。秋葉原の事件はみなさんご存じのごとく、今日も今日とて、77歳が一家を皆殺しするという不穏さ。低気圧はやっぱり人心に影響を与えるのでしょうか。

 大いなるダイエット実行期をはや一ヶ月すぎ、肉体改造に余念のない私は、最近、自転車生活を復活させているのですが、先の週末には二回も山手通り、全身ずぶ濡れ疾走をやってしまいました。当然のごとく、もの凄く寒くて、不快なのですが、その一方で、何だかワイルドなエネルギーがむくむくとわき上がってきたのも事実。黒澤明の「七人の侍」スイッチが入りましたね。このまま、百姓一揆でも起こしたろーか、という。

 ずぶ濡れの一回目は、代官山UNITでのPulume 2nd reception ”rise" QUIVVER DEBUT ALBUM"Dirty Nails &  Vapour Trails" RELEASE TOURパーティーの帰り。この日、メインのクィーバーは来日せずだったのですが、私のお目当てはCICADA。彼のプロデュース作品はソリッドかつ官能的で私は大好きなのですが、DJを体験するのはお初。

 この人の非凡なところは、やっぱり音造りで、山場(わかりやすく言えばドラムロールでアゲていくとこ)の音の重層性と配置ははっきり言って、こんなアゲ方みたことない、っていうような音像を造り上げていました。お得意の見立てで言えば、先ほどの「七人の侍」の百姓軍団が武器を携え、全速力で目黒の行人坂(もの凄い急坂)を駆け上って行くような、と、これはギャグですが、まるでカンザス名物の大竜巻のように最大出力しかも複雑で繊細。ただし、この後の着地がちょっと普通でした。地面にたたきつけられる衝撃でもいいし、ぶつかる、と思ったら違う時空に行っちゃった、というようなオドロキが私は欲しかったですね。とはいえ、これはあまりにもその音像の印象が凄かったゆえのワガママな希望でした。全体的にはとってもよかった。

 それはそうと、踊っていたら、若い男性に「湯山玲子さんですか?」と声をかけられました。フロアでひとり踊るババアと言えば、まあ、日本では数少ないわけなんだけれども。

モデルの渋谷マリアさんがお亡くなりになったのも、急でした。  お葬式は土砂降りの雨の中。  彼女はクラブカルチャーの一角にいた数少ない女性のひとりであり、ファッションというだけではなく、かなりツウに音楽に相対している人でした。最後に話したのは、坂本龍一さんの楽屋裏でしたね。一度、飲みましょう、と合うたびに言っていて、結局、そのことは実現しませんでした。

 昨日も雨でしたが、ミーティングの後、野宮さんと一緒に原宿の「東波」ディナー。  本当は帰って仕事するつもりが、どうしてもここの激激辛い麻婆豆腐を食べたくなってしまった。下をビリビリシビレさせる山椒に内臓を焼きながらも、ひたすら食べ続ければやっぱり、ワイルドな力がみなぎってくる気がします。

 魔の季節を退散させるにはハードなイニシエーションが必要なのでした。


PS  それはそうと、この前の日曜日にななんと、クラシックバレエの体験レッスンを受けてしまった! これも超ハード。シルヴィ・ギエムと私との距離は百億光年に近い・・・・。

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