〜シャトー・ド・シャイイーのすんばらしいモッンラッシェ〜
ホテルの朝食は旅の楽しみのひとつだが、ここ<ホテル・リュクサンブール>のそれも抜群に旨い。特にハムとチーズ、バターね。ハムは日本ならローマイヤー級のが当たり前に出る。バターにしてもフレッシュで、帰ったらマジでバターは手製にしようかとも思う。ちょっくら、リュクサンブール公園とサンジェルマン付近を散歩。裏道の小さい噴水でこの寒空の中、大量の鳩がまるで温泉に浸かるように水浴びをし続けていたのが不気味。 チェックアウトしタクシーで早めのリヨン駅に到着。大伽藍の鉄製の教会のような駅は世界でも有数の美駅のひとつ。母は以前、ここでディジョン行きの一等当日券が買えなかったこともあって、ソワソワとカブトムシ度がマックスに達して、うるさいことこの上ない。だって、すでにチケットは日本で購入しているんだぜ。と、まあ、五日間有効のパスの所定手続きも終わり、駅カフェレストランにて、駅の雰囲気を楽しみながら、昼食。チーズとハムのサラダだけど、これまた駅カフェと思えぬ完成度。ザガット・サーベイの主宰者夫妻が日本に来たときに、駅の立ち食いそばに感動したのと裏腹なんでしょうね。 列車では爆睡し、ディジョン駅ではyuyamaご一行様のパネルを持った、ホテルのお姉ちゃんがいて、一路、郊外の<シャトー・ド・シャイイー>に向かう。ちょうど、日没の時間で、フラットな農地の水平線の果てに半熟玉子の黄身のような太陽が落ちる。宿り木と糸杉、木々が違えば当然文化も違ってくる。 プイイーの街を過ぎてしばらく走ると。平野の中にドドーンと古城が見えてきた。あれが目指すシャトーだ。城門をくぐるとそこは馬が止まっていそうな広場があり、出迎えのホテルマネージャーとともにチェックイン。バスルームこそひとつだが、大変に素晴らしいお部屋。コンピューターに繋ぐLANもあって、デスクスペースも充実。と思いきや、かなり格闘したのだが(さすがにいろいろな仕組みを覚えた)、LANに繋がらない。夕食までに宿題仕事に取りかかる。 ディナーに降りていくと、そこに日本人カップルが一組。今回、ワインの騎士を授かる大阪の岸本夫妻だ。一緒にテーブルを囲むことにして、ディナースタート。白のシャサール・モンラッシェを母が選び(どこでこういう知識を身につけたのか?)、赤はお土地柄ということでボーヌのビンテージを岸本さんがセレクト。どっちも100ユーロ前後の価格帯。さすが金持ちは違いますな。でも、日本で言ったらこの数倍はする値段だけに払う気にもなる。 前菜はキノコのムース、主菜はウサギのシトロンソース、チーズ、デセールはパスという組み立て。お味のコメントは差し控えるが、味覚とセンス、コンセプトの実験室みたいになっているフランス料理の中では、かなり古くさい部類に入る。でも、キノコのムースはガンガンに香りが届くのはさすが。ワインはもちろん強力。モッラッシェは清らかに濃厚で、赤のボーヌはおとなしいんだがしぶとい感じ。夫を立てる花岡清州の妻のごとし。 岸本夫妻はグルメらしく、寿司やグルメの話で盛り上がった。彼らはパリで、アラン・デュカスの<スプーン>に行ったのたが、あんまり、良くなかったらしい。部屋に帰って、宿題仕事を片付ける。日本でコレをやらないのは、家の中に本やらなにやら面白いモノが多い故、ということが判明。
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